30代の不妊治療ブログ② 1年間の治療歴振り返り

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こんにちは。前回「30代の不妊治療①」の記事でざっくりご紹介したように、我が家は夫の転勤を機に不妊検査を受けることにし、そこからあれよあれよという間に不妊治療の世界へ足を踏み入れることになりました。そこから約1年間の治療の結果、妊娠に至るまでを振り返ってみようと思います。

ざっくりまとめるとこんな感じの流れでした。

  • 不妊検査(2021年秋〜冬)
  • タイミング法(2021年冬〜2022年春)
  • 転院&子宮内膜ポリープ摘出(2022年4月)
  • 人工授精(2022年5〜8月)
  • 体外受精(2022年9〜11月)
目次

不妊検査の結果は…?

わたしが2021年の秋〜冬にかけて東京の助成金を使って受けた検査はざっくり以下の通り。これに加え、夫サイドでは精液検査と風疹抗体検査を受けています。

  • 経膣エコー検査
  • 採血検査
  • 子宮卵管造影検査

結論から言うと、都内で受けた検査では夫婦ともに悪いところはほぼ何も見つかりませんでした。

よく聞くAMH (Anti-Mullerian Hormone/抗ミュラー管ホルモン。残存する卵胞の数を推測できる) の数値も問題なく、卵管通過性も正常で、年齢に鑑みても人工授精や体外受精を急ぐ理由はないとの診断結果に。

夫も自分の検査を受けてから結果が出るまで相当そわそわしていたものの、検査結果良好で元気を取り戻しました。治療的な意味で結果に右往左往するのはわかるんですが、それよりもなんとなく「精液検査結果が悪い=自分の男性性が否定される」みたいな思い込みで謎に怯えていたのが滑稽というか何というか。男って心底めんどくせえ生き物です。

唯一指摘されたのがわたしのビタミンD不足で、30ng/ml(これを超えていれば十分)が基準値とされているところ14.2ng/mlしかなく、サプリ摂取を勧められました。特に医師からはサプリの指定もなく、市販のものでOKとのことだったので、エレビットや近所の薬局で手に入るFANCLなどで葉酸と一緒に服用していました。

ビタミンDは不足すると着床率の低下に繋がるとのこと。日本人は特に不足しがちな栄養素だそうで、妊活関係なくサプリは飲んでいたらいいよ〜と言われました。今は飲めていないので、産後また始めようと思います・・

ビタミンD濃度と体外受精の成績に関する11論文2700名の女性のメタアナリシスをJ Chuらが2018年に報告しており、「不足」「不十分」の女性に比べて「十分」な女性は臨床妊娠率がオッズ比1.46倍[1.05-2.02]、出産率がオッズ比1.34倍[1.04-1.73]と高い妊娠率・出産率を認めています。(この論文では流産率に差は認めていません。)また、DR Goncalvesらが2018年に報告した11論文のレビューでは反復着床不全とビタミンD「不足」「不十分」の関連を認めています。卵子の質との関連なども含めて不妊症とビタミンDに関連する論文は年々増加しています。

亀田IVFクリニック幕張ブログより

不妊治療第1ステップ:タイミング法

検査結果が特に問題なかったので、まずは不妊治療の入り口であるタイミング法を実施することに。

とはいえ、すでに夫は福岡に転居済みだったので、正直なところ我々夫婦には全くハマらなかった方法でした。

タイミング法は生理周期に合わせて通院し、排卵日を予測してもらって&それに合わせて排卵誘発の注射を打ち、排卵日前後に性交渉を行う(タイミングを取るとか言う人もいるらしいんですが、全くしっくりこないので直接的ですみません)という、医療の介入が極めて少ない治療法ですが、この排卵日というのが曲者で。

毎月生理が来た日に管理アプリ(ケアミーを使っていました)に入力すると、次の排卵日はだいたいこの辺!と予測を出してくれるものの、これが生理周期10日前後に出される医師の予測とピッタリはまった周期は一度もありませんでした。つまり、性交渉のベストタイミングが通院するまで読めない。

アプリの予測に合わせて福岡と東京の行き来の日程を組んでいても、結局排卵日が大きく外れることが何度もあり、遠距離夫婦にタイミング法は無理すぎました(だからと言って人工授精や体外受精がやりやすいわけでもないんだけど・・)。

このような治療面での直接的なデメリットに加え、夫婦の大切な時間だったはずの性交渉が義務というかやらされ仕事のようなものになってしまったのが何よりの痛手で。

1ヶ月自分の体調を管理し、数回通院して注射まで打ったのに、いざ!と思うと夫が激務でそれどころじゃなかったり、単にお互い気乗りしなかったり、そもそも行き来の日程と合わずに意味をなさなかったり。なぜか排卵日前後以外の性交渉にもお互い消極的になったり。

相手の都合でできないとそれまでの自分の努力まで全て無駄になった気がしたり、ひどい時には女性として終わってしまったように思えて大泣きし、逆に自分の気持ちがついていけない時に夫がショボンとするとそれにも無性にムカついたり。

普通に生きてきてこんなプライベートなことを他人に指示される場面なんてないので、自分の置かれた状況をなかなか受け入れられず本当につらかったです。あれに夫婦でどう向き合えばよかったのか、未だにわかりません。タイミング法でトライしたのは結局3〜4周期くらいだけでしたが、その数ヶ月だけであわやこのままセックスレスか、最悪離婚かというところまで追い詰められました。

どのステップもそれぞれしんどかったけど、二度とやりたくないのがタイミング法かもしれない・・

転院と子宮内膜ポリープ摘出術

そんなこんな、しばらくタイミング法でお茶(と夫婦仲)を濁していたものの、夫の仕事の融通のきかなさと妊娠出産含めた先を見据えると今後の不妊クリニック通いは福岡を拠点にした方が良さそうとの結論に至り、2022年春に福岡の不妊クリニックに転院しました。

転院先で我々夫婦の指針である「医療の力を活用してなる早での妊娠を目指す」を改めて医師に伝え、都内で実施済みの検査に加え、抗精子抗体検査を受けました(フーナーテストを受けていなかったので、より精度の高いテストとしてこちらを勧められました)。これは自費で受け、結果も問題ありませんでした。

タイミング法がハマらなさすぎたこともあり、早い段階でのステップアップを希望したのですが、エコー検査で子宮内膜ポリープ(着床の妨げになる可能性がある)を指摘され、1周期休んで摘出手術を受けることに。東京で受けた検査では指摘されなかったので驚きました。

わたしにとって、これが人生初の静脈麻酔下での手術になりました。

手術自体は日帰りで病理検査の結果も悪性ではなく安心したのですが、どうやら麻酔が合わない体質らしく翌日まで酷い頭痛と吐き気で寝込んだのがつらかった・・

不妊治療第2ステップ:人工授精 (AIH)

無事にポリープも摘出し、2022年5月に人工授精にステップアップしました。

人工授精では、タイミング法同様、周期に合わせて数度通院して排卵誘発の注射を打ち、ベストなタイミングで洗浄濃縮した夫の精子を子宮内に注入します。

夫の不妊検査結果は全く問題がなかったので、あまりこの治療の意義がわからなかったのですが、数周期は人工授精でチャレンジしようという医師の方針に素直に従いました。数周期であれば急ぐものでもなかったので。結果として人工授精では授かれなかったものの、まあしゃあないなというくらいの気持ちです。

ただし、4回とも夫の精子の数値(量、濃度、運動率、正常形態率。毎回それぞれの結果がわかります)は全て基準値をはるかに上回るいい成績だったので、やっぱり問題はわたし側にあったんじゃないかと思うと、人工授精に大きな意味があったのかは今もよくわかりません。

人工授精が向いていないケース

  • 精子に問題はない場合(人工授精は精子の子宮内進入をサポートすることが有効目的であるため、精子が正常な場合には人工授精自体の有効性は低い)
  • 女性の年齢が高い場合
はらメディカルクリニックより

コロナ後の海外出張も復活してきたタイミングで仕事が忙しく、基本的に治療の方針は医師にお任せしてついて行くスタンスだったので、病院に対する不満はありません。でも気持ちの余裕があれば、もっと自発的に色々調べて医師と相談しながら方針決定できたかなという思いもあります。これはフルタイム勤務をしながら不妊治療を受ける大変さの一つだったように思います。

人工授精で妊娠できる人は3〜4回でほぼ結果が出るということで、まあ3回やればいいかなと思っていたのですが、病院側のお盆休みとの兼ね合いもあり、最終的に4周期を人工授精に費やしました。

人工授精自体は注入時に少し痛みがあるくらいで特につらいことはなく、決して楽しくはなかったけれど、身体的&心理的な負担は不妊治療の期間で最も軽い時期だったと思います。ただし、比較的マシというだけで、通院のたびに長時間待たされるつらさや毎月生理がくるたびに感じる虚無感、絶望感はこのステップでも健在です。

また、人工授精からのステップアップはすなわち不妊治療の最終段階である体外受精にトライするということなので、これがダメなら最後の手段にすがることになるという事実もなかなかに重たいものでした。

不妊治療第3ステップ:体外受精 (IVF) 採卵周期

結局4周期の人工授精では妊娠に至らず、2周期終えたあたりでもう気持ちは体外受精に向きつつありました。何より東京での仕事と折り合いをつけながらの毎月3〜4回の福岡での通院が重荷すぎて。

福岡での本格通院スタートから半年も経たないうちに体外受精にトライするというわたしのスピード感に夫は戸惑っていたけれど、どう見ても負担は9対1で妻の方が大きいという事実を前に特に反論もできなかったみたいです。

9月から体外受精に入ろうということになり、8月はもはや期待ゼロの人工授精をやりつつ体外受精の準備を始めました。

体外受精では結局採卵と移植を一度ずつのみで妊娠に至れたこともあって、それまでタイミング法と人工授精に取り組む中で毎月直面した「また妊娠できなかった」という落ち込み期を通らず済んだので、心理的な負担はだいぶマシだったように思います。

一方、身体的な負担はそれまでのステップとは比べものにならず、採卵までの期間+採卵直後は不妊治療の1年通じて最も過酷。これ↓を経験せずに妊娠できた女性が全員羨ましい。

  • ホルモン補充の自己注射(1日2回)
  • 貼り薬(これも1日2回)
  • 飲み薬(数種類)
  • 時間厳守の点鼻薬(これは一度のみ)
  • 採卵後、卵巣過剰刺激症候群に

特に採卵までの期間の自己注射が嫌で、そもそもプロが打つ注射も嫌いなのに自分で打つって何だよ!!と。針自体も小さくて採血なんかに比べたら全然痛くもないけれど、自分で自分に針を打つのが恐ろしくて毎回夫に打ってもらっていました。貼り薬も続けているうちに肌が荒れるし・・

単純にしんどさだけで言うなら、採卵直後が一番きつかったです。体外受精もいろんなやり方がありますが、わたしは高刺激の治療法(色々あるけどどれを採用するかは個々人の状態と医師の方針によるのでここには書きません)で結果的に39個の卵胞が採れました。病院での月間MVPで恐らく年間でもトップなくらいの出来だそう。確かにTwitterとか見てても39個採れたって人は見たことないな・・

ただ、これが良し悪しで、通常毎月1つしか育たない卵胞を3年分以上作ってしまっているので体にも相当な負担がかかることに。結果として採卵後に腹水が溜まってしまい、いわゆる卵巣過剰刺激症候群 (OHSS) になりました。やっと採卵周期の注射から解放されたと思ったら要経過観察と言われ、点滴まで打ち、ひどい腹痛で数日寝込んでしまいました。

ここまでしないと妊娠できない自分の体に心底嫌気がさした上に、なぜかこのタイミングで夫がもらってきた喉の風邪までうつされてげっそり痩せました。本来ホルモン剤の影響で採卵周期は太りがちらしいんだけどな・・

院内月間MVPの39個採卵になったこともあり、今後移植が数回必要になるとしても採れた卵を使い切ることはない=採卵周期は二度と経験しなくて済みそうと思えたので、採卵結果が出た後はメンタルがだいぶ安定したのは良かったです。

夫の所見も安定して好成績で、顕微授精はせずに全て培精(ふりかけとか言うらしい)で受精卵を作ることになりました。

ただ、39個もあれば30個くらいは受精卵になるかな?と思ったものの、最終的に凍結保存できた受精卵は22個。決して少ない数字はないけれど、意外とこんなもんか・・とまた少し不安にもなり。グレードは4AAというピカピカのものから4CAとか3BBのようなものまで。

病院では、39個も採れると卵の質に多少ムラがあるのは当然で、22個凍結できたのは非常にいい結果と言われました。まあそうなんだろうなと思っています。現在、1つを移植し残りは第2子を考えるときに備えて凍結保存中です。

不妊治療第4ステップ:受精卵移植〜妊娠判定

なんやかんやでえげつない採卵周期を終え、ピルで生理を来させ(これがまた体に合わず吐きまくり)、なんとか無事移植周期に漕ぎ着けることができました。

採卵までが山場みたいなところがあってこの辺は細かい記憶がないのですが、医師から移植に備えた子宮内の環境改善のためにラクトフェリンを勧められ、サプリを服用していました。子宮環境がどの程度改善したのかはわからないままですが、めちゃくちゃお通じが良くなったのでそこは嬉しかったな・・

そして、採卵後22個凍結できていた受精卵から一番状態の良さそうなものを選び、11月初旬に移植してもらいました。

移植自体はあっという間で、担当医が子宮内に受精卵を置いてくる様子をモニター越しに眺めることができました。見えてなかっただけで人工授精の時も裏ではそういうオペレーションをやってくれていたのだと思うけど、違うご夫婦の受精卵と取り違えが起こらないように徹底管理されているのが印象的でした。

それまでの騒ぎに比べて圧倒的に静かな移植を終え、またもや同時期に移植を受けた同胞(と勝手に呼んでいる)たちのTwitterを一日中眺めながら2週間弱過ごした後、11月中旬に妊娠判定を受け取ることができました。

市販の妊娠検査薬で陽性反応が出ていたので判定日は期待しながら病院に行ったものの、やっぱり担当の先生から「おめでとうございます」と言ってもらえた瞬間は嬉しかったです。

トータル通院回数と費用

3月に福岡に転院して以降の通院回数は、11月なかばの妊娠判定までで30回を超えました。体外受精自体は一度の移植で終わったので、トータルではそんなに多い方ではないのかもしれませんが、東京と福岡の2拠点生活、フルタイム勤務をこなしながらの月3〜4回通院はきつかった。

夫と離れて暮らしていることとその状況下で不妊治療をしていることは上司と一部同僚には伝えており、色々とサポートしてもらえたことは治療に取り組む上で非常に大きかったです。これは単にわたしがラッキーだっただけで、職場の理解やサポートが得られずフルタイム勤務と不妊治療の両立を諦める人はたくさんいるのではないかと思います。

病院の待ち時間が長引いてしまい、近くでカフェを探して駆け込みWeb会議に出たことも何度もあります。リモート勤務が認められているからできたことであり、そうはいかない職種の方もたくさんいらっしゃるのではないかなと。

一方の気になる費用は、薬代と合わせてざっくり40万円。保険適用部分は自己負担額のみで計算しています。

体外受精の方法や採れた卵胞の数でも費用は上下するので一概には言えませんが、体外受精に進む=100万円単位の自己負担というイメージだったので、結果的に半額以下に抑えられてほっとしています。

それでも自然妊娠できた夫婦はこの金銭的負担も身体的&精神的なダメージもなく100%幸せいっぱいに子どもを授かれるのか〜と思うと、今でも遣る瀬ない気持ちになります。

「あれ?そう言えば生理きてないな?」でワクワクして妊娠検査薬を使う人生が良かったと、妊娠発覚後になってなおびーびー泣いたこともありました。

不妊治療を振り返って

ありがたいことに1年でいい結果に恵まれたものの、どう振り返っても不妊治療をやらずに済むならそれに越したことはなく、やって良かったと思えることは正直ひとつもありません。

強いていうなら「あらゆる家庭にはそれぞれ問題があり、外からはわからない」ということを身にしみて感じたことくらい。常々気をつけてきたつもりですが、よそ様の家庭にあれこれ意見したり助言するのはナンセンスだということを痛感しました。

結局、わたしたち夫婦が最終的に体外受精をするまで妊娠に至れなかった理由ははっきりわかりませんでした。未だにそこは気になっていますが、今は治療の結果授かれたことに感謝して、もうすぐ生まれてくる我が子にしっかり向き合おうという気持ちでいます。

Sofia

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